
珍しいお祭りの多い国東半島の中でも、奇祭中の奇祭と言われるのが毎年10月14日に旧国見町で行われるケベス祭り。
由来も起源も不明、「ケベス」という名前の意味もわからないという、謎に包まれたお祭りです。
このダイナミックな火祭りを一目みようと、全国各地から足を運ぶ人も珍しくありません。
この祭りのすごいところは、どれだけ言葉を尽くしてもこのすごさが伝わらないところにあります。なので、この記事を読んでも、まだ見ていない方には残念ながらきっと伝わりません。
私自身、事前に散々話を聞いていたにも関わらず、はじめて参加したときは天地がひっくりかえるような衝撃を受けました。その後もいろんな人に話をしましたが、実際に参加すると皆一様に「こんなにすごいと思わなかった!」と驚きます。
「百聞は一見にしかず」とはまさにこのこと。
まだ見ていない人はぜひ!この阿鼻叫喚の世界を体感してください。
Contents
ケベス祭りはこんなお祭りです
ケベスの面は、とても不思議なお顔立ちです。
(本物は木彫りです。)
左右の眼の高さが違うので、この面をつけると片目でしか外を見られません。
「眼の位置が違うので作りかえようとしたら血が出た」
(出典:NHK大分放送局編「くにさきノート」)
なんていう話もあるそうです。
そう聞いてから見ると、あやしさが増しますね。
夕刻になると、静かに祭りがはじまります。
神殿内で神事が終わると、境内に積まれたシダの山に火がつけられます。
白装束に身を包んだ「トウバ」たちが火のまわりに陣取ります。
ケベス登場の瞬間は、拍手が湧き起こります。
笛と太鼓に導かれながら、ケベスは境内をまわります。
トウバの隙を見て、火に向かって突進するケベス。
そして、それを止めるトウバ。
「トウバが火を守っていて、ケベスが奪おうとしているの?」
「それとも、トウバが火を占有していて、ケベスが解放しようとしているの?」
いろんな妄想が浮かびます。
止められたケベスは、再び境内をめぐります。
徐々に勢いを増す、ケベスとトウバの攻防。
周りから「がんばれ!」と謎の声援が飛び交います。
9回目!ついに、ケベスは火に飛び込みます。
すると、トウバが参拝者に火を向けてきます。
火を持って人々を追い回すトウバ。
逃げまどう人々の悲鳴。
地面に落ちてなお盛んに燃える炎。
煙のくすぶる境内…と、地獄の様相を呈してきた頃に太鼓が打ち鳴らされ、祭りは終わります。
ケベスはなぜ火を狙うのか。
火を守っていたトウバが、なぜ人々に火を向けるのか。
まったく意味がわかりません。
しかし、その謎こそが魅力のひとつです。
ちなみに、火の粉を浴びると無病息災とのこと。
積極的に浴びましょう!
参考サイト:新日本風土記アーカイブス「ケベス祭り」
2014年に放送された番組から、一部が動画で見られます。
参考サイト:国東市ホームページ「ケベス祭り」
観光協会で配布しているケベス祭りのパンフレットのpdfファイルがダウンロードできます。
ケベス祭りが行われるのは国東市の岩倉社
岩倉社は、大分県国東市国見町櫛来にあります。
櫛来の氏神様であることから、「櫛来社」とも呼ばれます。
大分空港から車で約40分。
バスの場合は「国東」行きに乗り、終点の「国東」で「伊美」もしくは「竹田津港」行きに乗り換えます。「古江」のバス停で下車するとすぐです。
(「国東」から「古江」まで約30〜40分です。)
しかし、帰りの時間にはもうバスがありません。
岐部にはゲストハウス、伊美にはユースホステルがあります。
宿泊場所を確保しておきましょう。
参考サイト:国東市ホームページ「国東市公共交通総合時刻表について」
国東市内のバス時刻表一覧がpdfでダウンロードできます。
参考サイト:自然の暮らし 暮らすように泊まる「Norbulingka」
岐部にあるゲストハウスです。
参考サイト:国東ユースホステル
伊美にあるユースホステルです。
ケベス祭り当日のおおよそのスケジュール
18時頃:シオカキ(海で身を清める)
19時頃:神事(神事が行われ、ケベスの面をつける)
※外からはほとんど見えません。
19時半頃:ネンガク(笛と太鼓の音ととも行列が境内をまわる)
20時すぎ:クライマックス
20時半:終了
お祭り後は、拝殿前に参拝者の行列ができます。
時間のある方は、ぜひ参拝してから帰りましょう。
写真を撮りたい方や前列で見たい方は、早めに場所を確保することをおすすめします。
私はだいたい19時すぎに現地につきますが、すでに境内は人であふれています。人の隙間からちらっと見えるような見えないような…という状態です。
ケベス祭りに参加するときに気をつけておきたいこと
服装は、寒さ対策と天然繊維
化繊厳禁!!!(燃えます)
10月半ばなので、夜になると冷えることが多いです。じっと見ている時間が長いので、天気予報と相談の上、寒さ対策をしておきましょう。
フリースやダウンは危険です。(友人のダウンジャケットには穴があきました。)
コットンやウールなど天然繊維のアウター、もしくは穴があいても惜しくない服を準備しましょう。
火の粉から髪を守るのに、帽子やタオル・手ぬぐいなどがあると安心です。
また、火の粉が飛んで火傷をすることがあります。なるべく肌の露出は控えましょう。
同行者と待ち合わせ場所を決める
ご一緒の方とは、祭り終了後の待ち合わせ場所を決めておくと安心です。
途中、境内が混沌とします。
お連れの方と、はぐれる可能性が非常に高いです。
しかも、境内は電波がほぼ入りません。(2017年10月時点)
(auだと、鳥居付近までは電波がありますが、回廊から先は圏外になります。)
(ソフトバンクも入らなかったはず。ドコモの方、ぜひ教えてください。)
途中で「こんなの無理!もう帰りたい!!」と思ったら
火のそばに行きましょう。
不思議なもので、逃げるとトウバが追ってきます。
精神的にも追い詰められます。
火に立ち向かいましょう。
煌々と燃える火のまわりは、追われることもなく暖もとれて、意外な穴場です。
そこにたどりつくまでが一波乱ですが、勇気を持って踏み出しましょう。
(魔法陣グルグルで火の王が言っていた「火を恐れるな、火を支配するのだ」という名言を唱えるのがおすすめです。)
(余談ですが、私は小さい頃からマッチがつけられないほど火が苦手でした。USJのアトラクション「バックドラフト」では具合が悪くなり非常口から途中退場するほどでしたが、ケベス祭りのおかげで火を克服し、今はマッチがつけられるようになりました!ケベス、ありがとう!)(本当です。)
ケベス祭りの情報
詳細
名称 | ケベス祭り |
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会場 | 岩倉社(櫛来社) |
住所 | 大分県国東市国見町櫛来 |
日時 | 毎年10月14日 19時頃〜 |
駐車場 | 当日は、岩倉社の奥の港周辺に駐車場が準備されます。 現地につくと、地元の方が案内してくださいますので、安心して岩倉社に向かいましょう。 |
Googleマップ
最後に
ケベスの面の異様さ。
火をめぐる、ケベスとトウバの謎のかけひき。
追い回されるという非日常体験。
どこをとっても「ハレ」がたっぷりつまった2時間です。
毎年10月14日なので、翌年の手帳を買ったらぜひ予定を書きこんでおきましょう!