古民家サロンでリフォームを学ぶ。

「(大分に行ったら)空き家をリフォームして住みたい」とあちこちで言っていたら、友人が「それなら咲屋さんに話を聞いてみるといいよ」と教えてくれた。

タイ古式マッサージのサロン「咲屋」は新潟市西区の住宅街にある。
サロンの他に貸しスペースをやっていて、私もイベントで2度訪れたことがあった。造りはいわゆる日本家屋だが、広々とした二間続きの和室から庭が見えて、すっきりと居心地の良い素敵な場所だったのを覚えている。オーナーの麻衣子さんは、築40年ほどの物件を自分で直して住んでいるのだそうだ。麻衣子さんに事情を伝えて「お邪魔したいです!」と言ってみると、二つ返事で了承してくれた。

翌々日、咲屋に伺った。
キッチンで椅子を勧めてもらい、お茶をいただく。白い壁際には観葉植物が置かれ、白いカーテンのかけられた窓から光がやわらかく差し込んでいる。明るい印象のキッチンだ。しかし話を伺ってみると、以前は床も壁ももっと暗い色だったらしい。全体的にどんよりとした雰囲気だったので床にクッションフロアを貼り壁を白に塗り替えたのだという。麻衣子さんはクッションフロアの境目を指して「素人仕事だからよく見ると雑だけど」と言うけれど、よくよく見てみなければ気にならない。
麻衣子さんは、この家の前にも古い一軒家を改造して住んでいたのだそうだ。そうやって手直しすること自体が好きなので、ある程度家が出来上がってくるとまた違う家に住みたい気持ちが出てくるのだとか。楽しそうに話す麻衣子さんを見ていると、こちらもついわくわくしてしまう。

その後、和室とサロンスペースも案内してもらい、手を加えた部分について丁寧に教えてもらった。たとえば、畳の上からござを敷く、照明を変える、砂壁を簾で隠す(簾は夏がお買い得らしい)など、ほんの一工夫で家の表情が変わる。「お金があればいいものが買えるのは当たり前。でもそれだと面白くないんだよね」と麻衣子さんは言う。

麻衣子さんの極意を私なりにまとめると、まずは家に何度も足を運ぶことからだ。
最初は(前の住人の荷物があったり障子が破れていたりして)「なんかちょっと違う」と思うかもしれないけれど、「ここの壁の色を変えたらどうなるだろう」「ここの襖を取り払ったら」「ここの照明を付け替えたら」と想像を膨らませていく。自分の住みたい部屋のイメージとその家のイメージが重なったら、あとは実現するだけだ。とにかく「こういう家に住みたいっていうヴィジョンをしっかり持つのが大事」だという。(たとえば、咲屋のコンセプトは和の雰囲気を残しつつもアジアンテイストを取り入れた空間で、正にそのとおりの場所に仕上がっている。)
「こうしたいっていう気持ちがあれば、あとは工夫次第でなんとかできるから」と話す麻衣子さんは生き生きとしていて、きっといかに工夫するかという部分に楽しみを見出しているのだと思った。


【今日のまとめ】

先月、実際に空き家を見てまわった結果ちょっと心が折れてしまい「久しぶりに1K暮らしもいいかも…(トイレが綺麗だし)」と思ったりもしたけれど、麻衣子さんのお話を聞いているうちに空き家を探したい気持ちががっつり再燃した。(麻衣子さんの名言「100均とホームセンターがあれば大丈夫」)(しかし水回りはきちんとしているところを選ぼうとも思った。)
お邪魔する前に麻衣子さんのブログ(くつろぎの古民家サロン咲屋~さくや~)を見ていたら「世界一気持ちいい」というタイ式マッサージを受けたくなってしまって、一通り案内してもらった後に施術してもらった。それはまた後日。

豊後高田市でも地域おこし協力隊の募集が始まり、迷う。

豊後高田市から新潟に戻って1週間後、見慣れない市外局番から電話が来た。

「豊後高田市役所地域活力創造課の伊藤(仮名)ですが」
先日、土曜日も休日出勤で家探しに付き合ってくださった伊藤さんだった。「その後いかがですか?他の物件情報とかご覧になりました?」と聞く伊藤さんの声は、電話越しでもあたたかい。あの時は楽しかったなーまた伊藤さんに会いたいなー、とほんわかしかけてふと現実に返る。そうだ、私はあろうことか(?)豊後高田市の隣の国東市の地域おこし協力隊に応募してしまったのだ。
「いえ、あの、」実は、と言いかけて一瞬ためらい、結局「まだです」とだけ答えた。たぶん伊藤さんは「そうですか」と言って、空き家バンクのことやお試し居住の話をしてくれたと思うのだけれど、あまり記憶にない。
地域おこし協力隊のことを伊藤さんに話すべきだろうか。そもそも、豊後高田市と国東市はいったいどういう関係なんだろう。燕市と三条市のようなライバルなんだろうか、それとも豊後高田市がリードしているという認識なんだろうか。そんなことを考えているうちに「また何かありましたらご連絡くださいね」と電話を切る流れになってしまったので、「すみません、実は…」と切り出した。

国東市の地域おこし協力隊に応募してしまったけれどもし落ちたら豊後高田市に住みたいと思っている、ということをお伝えすると、なんと伊藤さんは「豊後高田市でも地域おこし協力隊を募集していますよ」「もし仕事内容にご興味があったらぜひ募集してみてくださいね」なんて言う。そんなばかな。大分県での募集は全部確認したはずだ。しかし、地域おこし協力隊のサイトを確認してみると、たしかに豊後高田市の募集が見つかった。ほんの2日前に掲載されたばかりで、募集締切は3月下旬、採用は5月1日からとなっている。伊藤さんから教えてもらわなければ知らないままだっただろう。
これはもしかして、国東市の募集は結局落ちて豊後高田市に行く流れになるのではないか?と考えた。

しかし翌日、国東市役所から電話が来た。「この度は地域おこし協力隊にご応募いただきありがとうございました」と物腰柔らかい印象の声の男性で、面接の日程の連絡だった。書類審査は無事通ったらしい。電話口の丁寧な対応になんだかほっとする。もし国東市の選考に受かったならそれはそれでいいのかもしれない、と思い直す。

とりあえず今月21日に国東市で面接だ。その先のことはまだ何ひとつわからない。

国東市の地域おこし協力隊に応募する。

新潟に戻ってきた。
家については(結論はともかく)なんとなく全貌が見えてきた。せっかく「お試し居住制度」もあることだし、あとは向こうで暮らしながら探してもいい。きっとなんとかなるだろう。
次に、大分での生活を考えた。空き家に住むならまずは家のリフォームからだし、とりあえずアパートに住むのであれば国東半島を探検(?)しながらフリーペーパーを作りたい。しかし、ある程度定期的に予定がないと際限なくだらだら過ごしてしまうタイプなので「週3くらいの仕事(バイト含む)があると、地元の人とも話せるしお金も入ってちょうどいいのでは」と思い至った。
とりあえず「国東半島 仕事」で検索したところ「【国東(くにさき)市】は地域おこし協力隊員を4名募集」という記事を発見してしまった。しかも、応募期限までまだ後3日(最終日必着)ある。


【地域おこし協力隊】

地域おこし協力隊とは、都市部から地方への移住を進めようという趣旨の制度である。ざっくりいえば、自治体が採用した隊員に対し、国が補助を約束するものだ。管轄は総務省で、数年前に始まって以来毎年確実に実施数が増えており、それに伴って制度も少しずつ拡充されている。
(参考サイト:地域を変えていく新しい力 地域おこし協力隊

私がはじめて地域おこし協力隊を知ったのは、つい3か月前だった。
大学院で開催された「新潟県十日町市の過疎集落に地域おこし協力隊として家族とともに首都圏から移住し、3年後定住した30代男性」をゲストとする研究会に(私自身は税法専攻なのだが)出席する機会があったのだ。そこではその集落の歴史から、男性をはじめとする地域おこし協力隊の約3年間の取り組みと、今後の展望を聞いた。普段表にはあまり出ないような「そうはいっても実際はなかなか難しい」という話も聞けたし、実践者と研究者の意識の違いも垣間見れてとても興味深い研究会だったのだが、話の途中で「そんなことよりこの制度で大分に行けばいいのでは!」とひらめいてしまった。
そこで早速検索してみたところ、大分県では臼杵市と宇佐市の募集があった。宇佐市なら国東半島のすぐ隣である。週30時間勤務で月16万、家賃補助、社保完備。悪くない。悪くないどころか、考えようによってはむしろいい。しかし、やはりどうしても国東半島に住みたいという思いのほうが強く、泣く泣く見送った。
その国東半島での募集である。豊後高田市はどうするんだ!という気持ちとの間で揺れながらも、とりあえず書類を準備することにした。


【地域要件の壁】

しかし、ここでひとつ問題があった。地域おこし協力隊になるには「3大都市圏内の都市地域又は地方都市(条件不利地域は除く)にお住まいの方」という条件がある。なんと、新潟市はこの「条件不利地域」のうちの「一部条件不利地域」に該当する。ある自治体の「受け入れ不可市町村リスト」には明確に「新潟市」と記載されていたし、実際に問い合わせてみたところ「新潟市はだめですね」と言われたこともある。新潟市は(それほど栄えている感はないにせよ)人口80万人の政令指定都市だと思っていたのだが、実は過疎だというのだ。そんなことってあるのか。そもそも「一部」とはいったいどこなのか。

納得がいかなかったので、ちょうど総務省から出向で大学に来ている先生に「新潟市は一部条件不利地域で他の自治体に行けないらしいんですけど、なんだかちょっとおかしくないですか?」と聞いてみると、「え!そんな制度設計はされてないはずですけどね」と懐疑的な様子。少なくとも総務省の意図するところではないらしい。先生は「もしかすると、受け入れ側の自治体によっては特別な規定があるかもしれませんが」と置いてから、過疎エリア以外であれば一部条件不利地域であっても地域おこし協力隊として活動することはできるはずだと教えてくれた。
(その後、現在の居住地が「条件不利区域」でなければ補助金を支給するという(ことが書いてある気がする)総務省の資料を発見した。)(参考資料:地域おこし協力隊の地域要件について(総務省)(PDF))

国東市に直接問い合わせることも考えたが、電話口であっさり断られる覚悟が決められず、とりあえず書類一式とともに居住地要件についてしっかりと書き添え、簡易書留で送った。


【今日のまとめ】

私は以前ウェブ制作の仕事をしていたことがあるのだけれど、もしかして、このスキルはものすごく便利なのではないかと気がついた。前職である会計事務所では、30代未経験(日商簿記2級)にもかかわらず、ホームページが作れるという理由で採用してもらったし、今回も募集要項にウェブ制作のスキル・経験がある場合は履歴書に記載するよう書かれていた。技術面を考えると結構いけるのではないかと思うのだけれど、とにかく地域要件がネックだ。
とはいえ、正直受かっても受からなくてもどちらでもいい。受かったら国東市に、受からなければ豊後高田市に住めということなんだろうな、と考えている。